かつてメジャーリーグには「ヘッドハンター(首狩り族)」と呼ばれる投手たちがいた。打者の頭を目がけて意識的に危険球を投げ込み、腰をひかせて抑え込む。日本でも昭和から平成初期には、投手が打者の頭部付近を目がけて危険球を投げるのは当たり前。それをどう避けるかも、打者の技術の一つだとされていた。
「打席に入ったら投手から自分の頭に1本の線を引く。その線にボールが乗ったら身を翻すんです。そうしないと頭をやられますから」
こう頭部死球を避ける技術を語っていたのは、長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督である。そういう技術で投手との攻防を掻い潜って打ち砕いてこそ、本物のプロの打者だという時代だった。
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source : 週刊文春 2023年8月10日号