東京宝塚劇場の幕間の観客席は、いつものようにファンの熱気に満ちていた。だが、いつまでも上がらぬ幕に客席がざわつき始めた頃、舞台裏の楽屋に車椅子が運び込まれる。支えられながらそれに乗った一人の女性は、そのまま劇場を後にした。彼女は星組のトップスター礼真琴である。

 礼真琴は2009年に宝塚音楽学校を首席で卒業し、入団11年目で星組のトップスターに選ばれた。

「深いハスキーボイス、キレのあるダンス、芝居の上手さと、三拍子そろった実力派のタカラジェンヌ。50年に一人の逸材との呼び声も高い」(舞台関係者)

 そんな宝塚の顔が車椅子姿になるとは異常事態だ。

「事件があったのは8月15日。『1789〜バスティーユの恋人たち〜』の第一幕が終わった直後です。宝塚歌劇団からは、出演者の体調不良で公演実施が困難とアナウンスがあり、主演の礼真琴の当面の休演が発表されました」(舞台記者)

50年に1人の逸材と高い評価を受ける礼真琴

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source : 週刊文春 2023年8月31日号