家の中で一番のお気に入りはお隣の立派な竹林が見える大きな窓があるお風呂です。|おおたわ史絵

新・家の履歴書 第845回

吉田 大助
ライフ ライフスタイル

(おおたわふみえ 総合内科専門医・法務省矯正局医師。 1964年、東京都生まれ。東京女子医科大学卒業後、大学病院、救命救急センター、地域開業医などを経て、現在は法務省矯正局の医師として少年院や刑務所受刑者たちを診療する矯正医療に取り組む。近著に、矯正医療の現実を伝える『プリズン・ドクター』(新潮新書)がある。)

 

 広島出身の父は両親を病気で早くに亡くし、兄弟が原爆症で苦しんでいる姿を見ていたこともあり、生死に関わる仕事がしたいと医者を目指しました。葛飾区の隅っこにある、だだっ広い原っぱに診療所兼自宅を建てた理由は、競合がいなかったから。地域では初めてのお医者さんだったらしいです。

 テレビのコメンテイターとしても活躍する総合内科専門医、おおたわ史絵さん。2018年からは少年院や刑務所受刑者たちの診療にも携わる、法務省矯正局医師(プリズン・ドクター)として働いている。
 1964年10月15日生まれ、東京都葛飾区出身。父は開業医、母は専業主婦だった。

 自宅と診療所はどちらも2階建て、それぞれに玄関があり裏口で繋がっていました。自宅は縦長で、玄関を入ってすぐの部屋はシャンデリアを吊り下げた立派な応接室があり、マントルピースという暖炉調の家具がドンと。でも、隣りは六畳の和室で、ちゃぶ台が置いてある。生活も本当に質素。貧乏医者です(笑)。

 台所には縁側がくっついてて、その前には鯉が3匹ぐらいしか泳げないような、ちっちゃな池がありました。庭で放し飼いにしていた犬のポニーと遊ぶのが大好きな時間でしたね。2階には子供部屋と両親の部屋、普段はあまり使わない畳の部屋と客間。畳の部屋では、午前と午後の診察の合間に、父がよく昼寝をしていました。往診もありましたし、診療所のピンポンを押したら何時でも診ますよという態勢でしたから、父は毎日忙しくしていました。

餃子の包み方や米の研ぎ方、洗濯の干し方。全ては家政婦のおばちゃんから学んだ

 家事を回していたのは、家政婦の女性。「第二の母」と言える存在だ。

 自宅の1階には家政婦さんの部屋があり、ミシンなどお裁縫道具が置いてあって、スカートを仕立ててもらった記憶があります。ご飯を作ってくれて、制服を畳んでくれて、体操着を洗ってくれたのは、「おばちゃん」と呼んでいた家政婦さんでした。餃子の包み方やお米の研ぎ方、洗濯物はこうやって干すと綺麗だよと、家庭でお母さんが教えるようなことは全ておばちゃんから学んだんです。大好きでした。歳を取った彼女が病を得て入院してからも、私が看取るところまで関わりました。

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source : 週刊文春 2023年9月7日号

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