(くぼたともこ TBS報道記者。1977年、神奈川県生まれ。2000年にアナウンサーとしてTBSに入社。「どうぶつ奇想天外!」や「報道特集」などを担当。2017年、退職。米・コロンビア大学にて修士号を取得。2020年、TBSに復職。現在、報道局デジタル編集部に所属し「TBS NEWS DIG」編集長を務める。)

 

 2019年、特別養子縁組で、生後まもない女の子の母になりました。日本では養子にかわいそうというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、幸運の塊だと私は思います。子供の幸せを願っての選択で子供を持てなかった人も幸せになれて、産みの親にとっても新たな人生を踏み出す一歩になる。それを伝えたくて、番組で特別養子縁組の特集を担当したり、産みの母の境遇、例えば、予期せぬ妊娠によって女性が困難に直面する現実についても取材を重ねています。

「どうぶつ奇想天外!」や「筑紫哲也NEWS23」などで活躍した元TBSアナウンサーの久保田智子さん。現在は、JNNのニュースサイト「TBS NEWS DIG」編集長として、日々、取材や発信を行っている。
 1977年、横浜市で産声を上げた久保田さん。両親と3歳下の妹の4人家族で、子供の頃は2〜3年おきに引っ越していたという。

 頻繁に引っ越しをしていたのは、通信系の仕事をしていた父が、出向したりフリーランスになったりと職場がよく変わっていたから。記憶にある最初の住まいは、藤沢市内の団地で、台所とリビング、寝室が1部屋だけ。おそらく手狭になったのでしょう。私が5歳の頃、海老名市内の父の勤務先の社宅に引っ越しました。LDKの他に両親の寝室、子供部屋、和室があり、「広いお家になった!」と嬉しかったのを覚えています。

自信を与えてくれたホストファミリー。米国のステイ先が“第二の我が家”に

 小学校2年生になる時には、横浜市緑区のアパートへ。ここも社宅だったと思うのですが、六畳の和室に六畳の台所、お風呂とトイレだけの狭い部屋でした。大きな一軒家に住んでいるクラスメイトもいたので、皆に家を知られるのが恥ずかしかったです。

 当時の私は内向的なタイプで、引っ越しのたびに人間関係を構築するのに苦労しました。また、学校によって学習の進度が違うので勉強についていけず、特に算数で後れをとってしまって。母は先生に「このままだと落ちこぼれて、不良になります」と言われたそうです。次第に「自分は勉強ができない」という劣等感を抱くようになっていました。

 4年生になるタイミングで、横浜市緑区内の別の場所に引っ越しました。今度は親が団地の一室を購入。敷地内に小学校もスーパーもある超大型団地です。台所と六畳のリビングがあり、六畳の和室が両親の寝室、四畳半が私と妹の部屋でした。ここでは同じ団地の子と仲良くなって、楽しかったですね。学校の先生にも恵まれ、勉強への苦手意識も少しずつ薄れていきました。

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source : 週刊文春 2023年9月14日号