薬品で床にシミをつけ、絨毯を溶かし。親は「いつか建て替えてもらう」と言っていました。|大平貴之

新・家の履歴書 第847回

山田 由佳
ライフ ライフスタイル

(おおひらたかゆき プラネタリウム・クリエーター。1970年神奈川県生まれ。91年、個人製作は不可能と言われていたレンズ投影式プラネタリウムを開発。最多12億個以上の星を映し出す「MEGASTAR」シリーズや巨大ドームに投影可能な「GIGANIUM」など先鋭的なプラネタリウムを発表し続けている。)

 

 宇宙には無数の星が煌き、天の川銀河だけでも何千億という途方もない数の星がある。地球はそのうちのたった一つ。

 僕たちはそんな大きなスケールのなかで暮らしているということを、学校の理科で習ったはずだけれど、普段は忘れていますよね。それを思い出してもらうためにも、「星空」を自然に見られる空間をもっともっと増やしていく。これが僕と僕の会社のミッションなんです。

 投影恒星数世界最多の移動式プラネタリウム「メガスター」をはじめとする、世界で類を見ないプラネタリウムの数々を生み出してきた技術者の大平貴之さん。
 1970年、神奈川県川崎市に生まれた。石油会社に勤務するサラリーマンの父と専業主婦の母、2歳年上の兄との4人家族。「典型的な昭和のファミリーだった」という一家が最初に住んでいたのは2LDKの社宅。
 大平さんが7歳のとき、一家は千葉県印旛郡(当時)の新居に引っ越した。

 吹き抜けになっていて、オレンジ色のステンドグラスがはまっていた玄関、1階にキッチン、ダイニング、和室、中2階に両親の寝室、2階には子ども部屋が2つ。外には庭とガレージ。豪華ではないけれど、両親がこだわって建てたこの家が僕は大好きでした。

 周囲には田んぼが広がり、虫捕りや用水路でのフナ釣りをよくやっていました。それから夏の初めには蛍狩り。

 でもこの頃一番夢中になっていたのは紙工作です。紙を切り抜いて、電車や船、宇宙船、動物などを立体的に次々と作りました。だから部屋は紙屑やハサミなんかが散乱。しかも自分の部屋だけでなく、居間などでも所構わず工作するので、親からは常に「片付けなさい」と言われっぱなしで。部屋が散らかっているという点は、当時から今日まで一貫しています(笑)。

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source : 週刊文春 2023年9月21日号

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