8月19日午後1時過ぎ、JR大宮駅周辺。最高気温36度の灼熱の中、滝のような汗を流しながら、落ち着かない様子で立ち尽くす数人の男たちの姿があった。揃いも揃ってチノパンに斜めがけのショルダーバッグ。2台の携帯電話を手に持つマスク姿の男たちは、周囲から完全に浮いている。昼下がりの歓楽街に似つかわしくない彼らの正体は――。
小誌がこれまで報じてきた、木原誠二官房副長官の妻X子さんの元夫・安田種雄さんの“怪死”事件。7月27日発売号では、X子さんの取調官だった警視庁捜査一課の佐藤誠元警部補が実名告発。露木康浩警察庁長官が「証拠上、事件性が認められない」とコメントしたことに対し「これは殺人事件」と断言した上で、こう憤った。
「これだけ事実を提示しても、露木長官は『事件性は認められない』っていうのか。俺が『捜査のイロハ』を教えてやろうか」
記事に掲載された佐藤氏のこのコメントに怒り狂ったのが、露木長官だった。
「露木さんは周囲に『俺が佐藤に捜査のイロハを教えてやる!』と息巻いていた。ただ露木長官は知能犯の捜査経験はあっても、殺人事件の生の現場を知っているわけではない。百戦錬磨の元警部補に噛みつかれ、相当カチンと来たのでしょう」(警察庁関係者)
この記事が小誌電子版に掲載された7月26日、露木氏の「火消しをしろ」という号令のもと、警視庁幹部が「三者会談」を開いたのは小誌既報のとおり。だが、警視庁は事件に蓋をしただけではない。いま彼らは、佐藤氏に照準を合わせているというのだ。
元取調官の通話記録を……
「警視庁が狙っているのは、地方公務員法違反での佐藤氏の立件です」(捜査関係者)
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source : 週刊文春 2023年9月7日号