「水揚げしたホタテの約3割が残っており、中国輸出に頼る干し貝柱の行方が気がかり。値段は間違いなく下がるし、来年の見通しも不透明。アメリカに直接売るか、もう少しEUに買ってもらえるようにするか……日々、なんとか前を向いて働いています」
中国の水産物輸入停止が続く中、気丈に振る舞うのは、北海道猿払村漁業協同組合の森豊昭専務理事だ。
ホタテ貝は、日本の農林水産物輸出の稼ぎ頭。2022年の輸出額は過去最高の約910億円を記録し、このうち中国向けが半分以上を占めた。だが、こんなカラクリがある。
「ほとんどが貝のまま冷凍し輸出。中国の加工工場の人海戦術による貝剥き作業を経て、第三国のアメリカへ輸出されるか、中国国内で消費される。いわば、中国が“中抜き”しているわけです」(経産省関係者)
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source : 週刊文春 2023年9月14日号