日本にいる間は受け身だった。NYで価値観が大きく変わり、人として豊かになったと思います。|古屋毅彦

新・家の履歴書 第849回

大滝 美恵子
ライフ ライフスタイル

(ふるやたけひこ 株式会社松屋代表取締役社長。1973(昭和48)年、東京都生まれ。学習院大学法学部卒業後、東京三菱銀行入行。2001年松屋入社。米国留学し、08年コロンビア大学大学院国際関係学修士号取得。13年本店長として銀座店リニューアルの陣頭指揮をとる。23年3月代表取締役社長就任。)

 

 今年、創業154年を迎える百貨店「松屋」。比較的、創業から長い年数を経た企業が多い百貨店業界で、現在では数少ない世襲経営が行われているデパートだ。3月に九代目新社長に就任したのが古屋毅彦氏。創業家の五代目にあたり、大手百貨店では最年少の49歳の社長誕生となった。

 コロナ禍で帰宅時間が早まってすっかり朝方生活になり、子供のお弁当を詰めるのが僕の役目なんです。入社して22年が経ちますが、社長就任の朝もいつもと同じように迎えました。これはゴールではなく、スタートです。変化の激しい時代だと覚悟はしていますが、社員一丸となって様々な施策に前向きに取り組んでいきたいと思っています。

 1973年に渋谷区・代々木上原で生まれた。古屋家はもともと甲斐国(現在の山梨県)の武田氏の一族の家系で、初代古屋德兵衛が1869(明治2)年、横浜で反物類の小売りをする「鶴屋呉服店」として開業したのが「松屋」の起源。家には初代が子孫の未来を考えて遺した「古屋家家訓法」が伝えられ、青い罫線の原稿用紙を綴じた帳面には「行状を慎む」「家業に精勤す」「飲酒を慎む」といった文言が綴られている。本家の人間はこれを厳守してきたそうだ。

 生まれた家の記憶はほとんどないのですが、祖父母と同居していました。近所に親戚が多く、よく家に集まっていたのを覚えています。祖父母、両親からも、直接いわれたことは一度もありませんが、幼稚園の頃から漠然と「松屋に入る」と思っていたような気がします。成長するにつれ「古屋家の人間」という対応を周りからされるようになり、意識が強くなっていきました。

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source : 週刊文春 2023年10月5日号

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