近所のスーパーで私が最も信頼している素晴らしいレジ捌きの店員さんは、おそらく東南アジア出身だ。銀座へ行くと、近頃はもう日本人より海外からの観光客の方が多いような気さえする。気づけばどんどん国際色豊かな街へと変わりつつある東京だけれど、その実人々の感覚は全然変わってないみたいだ。だって、ふらりと乗り込んだタクシーで、ふとカフェで聞こえてきた会話で、言葉や肌の色が違う人のことを揶揄する言葉を聞くような経験、何度もあったもの。ああどうか、そんな感覚をまだ捨てきれない人にこそ『東京サラダボウル』を読んで欲しい。この本は、変わりつつある東京という街と、そこに生きる“外人”とひとくくりにされがちな人々の困難に寄り添った、私たちの生きる世界を舞台に描かれた作品だから。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2023年10月19日号