勝負というものにおいては、いざ始まってしまえば相手の年齢など全く気にならない。父親のように年上だろうと、息子のように若かろうと目の前の勝負に全力を尽くすのみである。

 だが、ふと相手の年齢を意識してしまうときがある。相手が同学年だった場合だ。

 藤井聡太竜王と伊藤匠七段の竜王戦七番勝負がまさにそれ。2人は共に2002年生まれの21歳、つまり同学年対決なのだ。

 小学生の頃からライバル関係の2人。第1局対局前日の前夜祭の挨拶で藤井竜王は笑顔でこう言った。

「私の方が1歳年上なんですけど……」

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source : 週刊文春 2023年11月2日号