棋士には「研究者」「勝負師」「芸術家」の3つの顔が必要。こう言ったのは華麗な寄せで「光速流」の異名を持つ谷川浩司十七世名人だ。棋士の核心を突いており、名言と思う。
私たち棋士の対局は、まずは形勢を有利にすることを第一目標にする。ひたすら最善を、将棋の真理を追究する「研究者」の顔である。
だが相手がいる以上、毎回思い通りに進むわけではない。終盤で不利に陥ると、研究者の顔だけでは勝てない。こちらの最善に相手も最善で返されると、決して差が縮まらないからだ。
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source : 週刊文春 2023年11月9日号