若きタカラジェンヌの自死から約1カ月、劇団の迷走は続いている。責任転嫁を謀る上級生と対応が後手に回り頭を抱える幹部たち。劇団への不信感は遂に他の組へ伝播し、雪組トップスターが理事長のもとを訪れて……。

 宝塚歌劇団の宙(そら)組に所属する下級生A子さんは、約1000字にわたって書かれた文章の一部に目を留めた。

〈お互いに信じ合う心を強く持ち、ともに前を向いて進んでいきましょう〉

 10月27日、劇団の木場健之(こばけんし)理事長が発行した「理事長達」(団報)は、美辞麗句で埋め尽くされていた。

木場健之歌劇団理事長

「この期に及んで、何を信じ合うのか。劇団はイジメを隠蔽し、当初有愛(ありあ)さんの自殺を隠していました。前を向く心境には到底なれません」(A子さん)

 後半では、劇団内に溜まる不安を打ち消すため、新たなカウンセリング体制について言及。〈従来からの相談体制に加えて、11月6日より週3日、公認心理士または精神保健福祉士の国家資格を持つカウンセラーを配置〉するという。9月30日に宙組に所属する有愛きい(享年25)が自死を遂げてから約1カ月。劇団はようやく重い腰を上げたのだ。

「生徒からは『遅すぎる』という声が上がっています。しかも、カウンセリングの時間は限られており、月曜は5時間、水曜と金曜は3時間のみ。そもそも〈従来からの相談体制〉なんて劇団にはなく、精神的な不調があった場合は、各自で外部の病院に掛かるしかないのが実状でした」(劇団関係者)

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source : 週刊文春 2023年11月9日号