京都大学のすぐ横、観光客もあまり立ち寄らない緑豊かな吉田山(神楽岡)の山中に、吉田神社はある。大きな赤い鳥居が目印で、京大OBの作家、森見登美彦さんの小説にもたびたび登場し、「受験生がお参りすると京大に落ちる」、「京大生がお参りすると単位を落とす」などのジンクスがあるとか、無いとか。でも、室町時代、ここが「お参りすれば、日本中のすべての神社をお参りしたのと同じご利益が得られる」という超パワースポットであったことは、あまり知られていない。
吉田神社は平安時代に創建された由緒ある神社で、二十二社の一つとされるが、元来はさほど大きな力をもってはいなかった。それが、室町後期、ここの神主家である吉田家から吉田兼倶(かねとも)という一人の異端の宗教家が出たことで、俄然、その存在感を高めることになる。
おりしも応仁の大乱により、都の寺社の多くは荒廃の極みにあり、神仏の権威も地に落ちていた。しかも、「神仏習合」と言われるとおり、この当時の神祇信仰はいまだ仏教と融合しており、仏教信仰の一部として扱われていた。そこに兼倶は吉田神道(唯一神道)という固有の神道を創始して、神祇信仰を独自の宗教として自立させようとしたのである。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます
キャンペーン終了まで
-
月額プラン
1カ月更新
2,200円/月
初回登録は初月300円
-
年額プラン
22,000円一括払い・1年更新
1,833円/月
-
3年プラン
59,400円一括払い、3年更新
1,650円/月
オススメ!期間限定
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
有料会員になると…
世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!
- スクープ記事をいち早く読める
- 電子版オリジナル記事が読める
- 解説番組が視聴できる
- 会員限定ニュースレターが読める
source : 週刊文春 2023年11月30日号