国内会員世帯数827万、海外会員数280万(公称)を誇る創価学会を率いたカリスマとは何者だったのか。公明党議員への厳しい質問で知られる池上彰氏と『池田大作研究』などの著作がある佐藤優氏の最強コンビが徹底解剖する。
池上 11月18日、創価学会池田大作名誉会長が15日に亡くなったことが発表されました。池田氏は、近年、公衆の面前に姿を現すこともなかったので、既に亡くなっているのでは、と疑う声もありました。私は、戦国時代でもあるまいし、そんなことはさすがにないだろうと思っていましたが、佐藤さんはいかがですか。
佐藤 おっしゃる通りですね。学会は池田氏に宗教的権威を集中させてきました。つまり、池田氏の代弁が許される立場の強い人間がいない。その身に不幸があれば事実はすみやかに公表されるだろうと。
池上 18日15時に創価学会はSOKAnetで、池田氏の訃報に関する動画を配信しました。創価学会主任副会長で池田氏の長男の池田博正氏(70)と原田稔会長(82)が並び、一報を伝えました。
佐藤 実に興味深い動画でした。まず、池田氏の妻である香峯子夫人のことばを博正氏が読み上げているところがポイントです。「30歳まで生きられるかどうかと言われていた主人が、信心と戸田(城聖)先生の薫陶のおかげで、ここまで長寿を重ね、使命を全うすることができました」と。
池上 「幸いすべてを託してバトンタッチできましたので、安祥としていました」と続きますが、このバトンタッチの意味は大きい。池田氏の“後継者”に関わる問題だからです。
佐藤 まさにその通りです。博正氏が、香峯子夫人を“母”と呼び、池田氏を“父”と呼んで語る。まず、名誉会長ではなく、池田家の人として語ることで、池田家が特別な地位にあることを示したとみるべきでしょう。
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source : 週刊文春 2023年11月30日号