その日、故郷の姿は変わり果て、暮らす人々は一瞬にして被災者になった。最大震度7を観測した「能登半島地震」。発生間もなく現地に入った取材班の目には、自然の猛威、家族の別れ、そして小さくも確かな希望が映った。
「居間でテレビをつけながら年賀状を見とったら、ちょっと揺れて、すぐまたでっかい揺れが来て。縦とか横とか、もう分からん。全方位に揺さぶられて、家の中のもんが倒れてきて。命からがら外に出たら、コンクリの道路が大蛇みたいにうねっとってん」(石川県珠洲〔すず〕市内の女性)
2024年1月1日16時10分。石川県の能登半島を震源とする最大震度7の大地震が、新年を迎えたばかりの街を蹂躙した。甚大な被害は、能登地方に集中。発生から1週間以上が経過した今も、まだ被害の全容は見えていない。
気象庁が「令和6年能登半島地震」と命名した元日の災禍は、能登に暮らす人たち、能登を故郷とする人たちの、大切な家族や友人の命を一瞬にして奪い、思い出の詰まった我が家を破壊した。その過酷な現実をありのままに伝える。
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能登半島の北東端に位置する珠洲市は、最も震源地に近い街。市のシンボルでもある名勝「軍艦島」(見附島)は、側面の崖が一部崩落し、勇壮さで知られる島影を痩せ細らせていた。
観測上、元日に珠洲市を襲った揺れは震度6強。同市は昨年5月5日にも震度6強の「令和5年奥能登地震」に見舞われている。1人が死亡、全壊40棟を含む3000軒強の家屋への被害が発生。復興のさなかにあったが、地元の住民たちは口々に証言する。
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source : 週刊文春 2024年1月18日号