「復興」よりも「復旧」が先――あの日から7カ月、能登半島の最奥に位置する珠洲に生きる人の言葉が重く響く。いったい、何が珠洲の再生を遅らせるのか。取材を通じて浮かび上がる、震源から至近の地が抱える課題と現状。
あの日から時間を止めたまま、今なお多くの倒壊家屋が残る被災地に、真夏の強い日差しが降り注ぐ。
能登半島の最奥に位置する石川県珠洲市は、人口約1万1000人の風光明媚な街だ。最突端の禄剛崎を境に、半島東の富山湾側を内浦、西の日本海側を外浦と呼ぶ。
この8月、珠洲市の各地区で、復興に向けた2巡目の住民意見交換会が始まった。先陣を切ったのは、震源に近く、甚大な被害を受けた外浦の大谷地区。二次避難先から帰省していた70代の男性が吐露する。
「二次避難しとる人はみんな『はよ帰りたい』って言うとる。でも、このへんの仮設住宅はまだ完成しとらんし、壊れた家の修理とか解体もまだこれから」
大谷地区に残り、家族で生活を続ける市議の川端孝さん(60)が続ける。
「大谷地区の西端、真浦町に続く国道はまだ崖崩れで通行止めの状態。水道が復旧していない地域も複数ある。今のところは復興より手前の復旧が先です」
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source : 週刊文春 2024年8月15日・22日号