(なかえゆり 俳優・作家・歌手。1973(昭和48)年大阪府生まれ。法政大学卒。89年、芸能界デビュー。主な著書に『残りものには、過去がある』(新潮文庫)、『わたしたちの秘密』(中公文庫)、『水の月』(潮出版社)、『万葉と沙羅』(小社刊)など。2023年12月、シングル「ともしびの種」をリリース。)

 

 最初の家があったのは大阪市東淀川区です。これといって特徴のない住宅地で、去年久しぶりに行きましたが、相変わらず何もなかったですね。

 私たちが住んでいたのは、線路沿いに建っている文化住宅です。東京で文化住宅というと和洋折衷の素敵な家を想像されると思いますが、関西の文化住宅はちょっと違うんですよ。いま振り返ると普通のアパートでした。間取りは六畳二間。お風呂はありません。ただ、トイレと台所が戸別についていて、トイレも台所も共同の長屋よりは文化的ということで、文化住宅と呼ばれていたと聞いています。

 俳優、歌手、作家、コメンテーターなど、多彩な活動で知られる中江有里さんは、1973年、二人姉妹の長女として生まれた。父はアパレル企業に勤め、母は喫茶店で働いていたという。

 ものすごくおとなしい子供で、友達に積極的に声をかけることもなく、学校が終わると一人で家に帰っていました。両親は共働きなので、小学1年生のころから鍵っ子でした。

 家に一人でいるときは、『暴れん坊将軍』とか、再放送のドラマを夢中になって見ていましたね。おばが買ってくれたリカちゃん人形で遊ぶのも好きでした。自分でストーリーを考えて、身近にあるものでセットも組んで。一人遊びが楽しすぎて、母が帰宅すると邪魔されたように感じるくらいでした(笑)。

初めて受けたオーディションで最終選考に。事務所に入り、高1の夏に一人で上京した

 小学5年生のとき、中江さんは母と妹と3人で、同じ大阪市の北区へ引っ越す。両親が離婚したのだ。

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source : 週刊文春 2024年2月29日号