ダイハツ、豊田自動織機、日野自動車と、グループ3社による不正が相次いで発覚したトヨタ。トップ自らが「トヨタにものが言いづらい点もある」と認めるなど、“最強企業”としての根幹が今大きく揺らいでいる。“絶対権力者”の豊田章男会長のもとで一体何が起きているのか。なぜ不正は防げなかったのか――。「週刊文春」が総力取材した記事をまとめました。
「トヨタにものが言いづらい点もあると思う」。相次ぐ不正に創業家のトップはそう頭を下げた。果たして日本の“最強企業”に何が起きているのか。現役幹部から子会社社長、有力OBに至るまで、総力取材で深層に迫る――。
【解説番組】「ノーと言えない文化がある」グループ会社3社で認証不正が発覚…日本最強企業「トヨタ」の内情を徹底取材!《記者が解説》
今週号の「週刊文春」に掲載された「【巨弾レポート】豊田章男・トヨタ会長はなぜ不正を招いたのか」と題する記事。最強企業「トヨタ」の内情を徹底取材したレポートは、大きな反響を呼びました。創業家・豊田章男氏(67)の社長就任から早14年。グループ会社3社の“認証不正”問題で揺れるトヨタに、今、何が起きているのか――。取材した大原記者が解説します。
《組織的不正を招いた独裁》“ダイハツの天皇”を直撃!「本当にもう、助けてやってよ~。ダイハツの連中を」
「もうね、記憶があいまいで、言えることが何もないんだよ」
かつて“天皇”と呼ばれた男の威厳は、すでにない。背の丸まった白髪の老人は、右耳を記者に向け、力のない笑みとともに約30分にわたり言葉を紡いだのだった。
【解説番組】「もうね、記憶が曖昧で…」組織的不正を招いたダイハツの天皇・白水宏典元会長(83)衝撃の現在《直撃記者が語る》
「週刊文春電子版」で不定期連載中の「《深層レポート》ダイハツ「不正30年」の病根」。昨年12月に発覚した“認証不正”の問題をめぐり、白水宏典元会長(83)が築き上げた“独裁体制”の実態について詳報してきました。
そんな中、編集部の黒川記者は、トヨタグループに相次ぐ不正問題について取材する過程で白水氏への直撃取材を敢行。ダイハツの天皇と称された白水氏の“衝撃の現在”とは――。
「納期は絶対厳守です。ミスをして役員や部長クラスが昼礼でブチ切れた場合、恐怖の『なぜなぜ分析』が始まります。ひどい時には仕事だけではなく『なぜこんな人生を送ってきたのか』と人格否定につながるような罵倒を、40~50代の課長クラスが他の社員の前で浴びせられることもありました。このような“公開処刑”を避けようと、『ミスはそもそも存在しなかった』と隠蔽に走る社員がいたのは、極めて自然な流れだったと思います」
こう打ち明けるのは、渦中の自動車メーカー「ダイハツ工業」の元従業員だ。
昨年12月に発覚した日本を代表する自動車メーカー「ダイハツ工業」で30年以上にわたって行われていた組織的不正。「週刊文春電子版」はこれまで3回にわたり、「《深層レポート》ダイハツ『不正30年』の病根」と題し、現役社員や元社員の証言をもとに、同社で永らく不正が行われてきた背景を報じてきた。
「週刊文春電子版」で連載を開始した昨年12月以降、編集部には無数のダイハツ関係者から情報が寄せられてきた。
今回、取材に応じたのは、ダイハツ経営の裏側を知る現役管理職である。
「認証不正」“ダイハツ経営陣の責任”を現役管理職が告発する「トヨタとの比較、『1秒1円1グラムにこだわれ』と現場を追い詰めた」
日本を代表する自動車メーカー「ダイハツ工業」で昨年12月、過去30年以上にわたって組織的不正が行われていたことが発覚し、自動車業界のみならず、日本経済に衝撃を与えた。
“ダイハツショック”の裏側で何があったのか。「週刊文春電子版」はこれまで4回にわたって「《深層レポート》ダイハツ『不正30年』の病根」と題するレポートを配信。前回の#4では、実際に不正の現場に立ち会ったこともあるという設計部門の現役管理職A氏の証言を基に、不正の温床となる組織文化や、今回問題視されている開発部門の実態などを報じた。
だが、言うまでもなく、不正が続いてきた原因は現場だけにあるはずもない。
トヨタ社長交代会見でわかった富川アナの“権力”
「私、1年弱ですけども、ずっと近くで章男さんを見てきて、すごく高感度センサーを持っている方だと思うんですね。これだ! と思った時にすぐに行動される。そこがトヨタの凄さだって僕は感じているんです」
1月26日、自社のユーチューブ番組「トヨタイムズニュース」の社長交代会見で豊田章男社長(66)をこう持ち上げたのは、元テレビ朝日アナウンサーの富川悠太氏(46)だった。
source : 週刊文春