(ざいぜんなおみ 女優。1966年、大分県生まれ。84年に芸能界入り。「お水の花道」や「おんな城主 直虎」をはじめドラマや映画を中心に活躍。著書に『自分で作るありがとうファイル』(光文社)、『財前直見の暮らし彩彩』(NHK出版)など。映画「湖の女たち」が5月17日より公開。)
生まれ故郷の大分にUターンして今年で17年。以来、ここで暮らし、仕事の時に上京する生活を続けてきました。今も、仕事を終えて大分空港に降り立ち、市内に向かうバスから車窓の景色を眺めると、ほっとする自分がいます。
今年、芸能生活40周年を迎えた女優の財前直見さん。大河ドラマ「光る君へ」で演じた藤原兼家の妾・寧子役も記憶に新しい。
1966年、財前さんが産声を上げたのは、大分県杵築市にある父の実家。1890年に建てられた歴史ある木造家屋だ。
当時、私たち一家は鉄鋼メーカーに勤める父の仕事の関係で兵庫県姫路市の社宅に住んでいましたが、私の出産にあたり、両親がこの古民家に里帰りしたそうです。ここは財前家の実家で、祖父母と父の兄弟が住んでいました。私が小学4年の時に父の転勤で大分市内に引っ越してからは、農繁期に農作業を手伝う両親と一緒に杵築の実家に行っていたので、私にとっても第二の実家のような場所なんです。
茅葺屋根の母屋に入ると土間があり、昔ながらのかまどが2つ。土間から続く和室では祖母が蚕を育てていました。繭になったら、この和室にある囲炉裏で茹でて糸を紡ぐんです。母屋のすぐ隣にある離れには、五右衛門風呂と汲み取り式のトイレが。さらに2階建ての蔵もあり、1階は農機具などの置き場、2階には和室があり、ここでよく寝泊まりしていました。
庭では、むしろを広げて干し椎茸を作ったり、ご近所さんが集まって餅つきをしたり。茅葺屋根をふきかえる時には、集落の人が総出で屋根に上がっていたのも覚えています。人とのつながりを常に感じられる場所でしたね。
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小学3年までの姫路時代、父と主婦の母、1つ上の姉の一家4人で住んでいたのは会社の社宅。平屋の一軒家でダイニング、六畳ほどの和室が2つのこぢんまりした家だった。
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source : 週刊文春 2024年5月16日号