私が初めて触れた講談での怪談は20歳の頃に聞いた「牡丹燈記」でした。演じたのは父である八代目一龍斎貞山。これは中国明代の怪異譚集「剪燈新話」に収められた一篇で、三遊亭圓朝師匠により翻案されて「牡丹燈籠」として有名になりました。妖しく美しい月湖のほとりに住む妻に先立たれた男が絶世の美女に出会う。2人は結ばれるのですが、じつは女が幽霊だったという話。怪談は怖くて、おどろおどろしいものという先入観が吹き飛びました。言葉や筋立て、情景描写がとても美しい。
初回登録は初月300円で
この続きが読めます。
有料会員になると、
全ての記事が読み放題
既に有料会員の方はログインして続きを読む
※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。
source : 週刊文春 2024年8月15日・22日号