首都圏連続不審死事件の裁判は続く。被告人席の木嶋は涼しい顔を崩さず、休廷を挟みお色直しした。そして報道は過熱し、社会が注目する裁判は予期せぬ展開を見せた。

「同級生の男の子たちには、相手にされていなかったけれど、佳苗には確かに独特のお母さんみたいな、マリア様みたいな、そういう雰囲気があった。だから、さびしい孤独な男の人たちが惹かれたのはわかる気がする」(別海町の同級生)

 千代田区在住、プラモデル作りが趣味の尾山保二(仮名、当時41歳)は、木嶋佳苗とマッチングサイトで知り合い、交際を開始。木嶋とドライブに出かけた後、駐車場に置かれた車の中で遺体となって発見される。死因は練炭による一酸化炭素中毒だった。木嶋に「学費を援助して欲しい」と言われ、470万円を渡していた。

 その3カ月前には、千葉県野田市に暮らす年金生活者の相川幸三(仮名、当時80歳)が火災により亡くなっていた。同じくマッチングサイトで木嶋と知り合い、交際中だった。

 相川も知り合ってすぐに、学費などの援助として80万円を渡し、その後も、金をせがまれ続けた。

 木嶋は2009年5月15日、相川の自宅から、キャッシュカードを持ち出して、ほぼ全額の188万円を自分のものにした。木嶋が去った数時間後、相川家は火の手に包まれ、全焼。

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source : 週刊文春 2024年9月5日号