8月22日、「最期の夢」であるプロジェクトが終了した夜、大野さんに「その時」が訪れる。家族が集まり行われたのは……。
お盆に入った8月13日、大野寿子は自宅(千葉県)で知人女性から体験談を聞いている。11年前、緩和病棟でがんの父を送った女性だった。
大野が肝内胆管がんで余命1カ月と言われたのは6月26日だ。約1カ月半が経過し、眠っている時間が長くなった。今後体がどう変化していくのかが気になった。
「お父さんはおいくつで?」
「79でした」
「私より6つ上か。最後はどんなご様子でした?」
「目を閉じている時間が長くなりました。意識はあり、病室で流していた浪曲を止めると、『消さないでくれ』と言いました」
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source : 週刊文春 2024年9月5日号