【前回までのあらすじ】札幌の大学に通うマチは恋人の浩太の家で狩猟雑誌を見つけ、狩猟の世界に惹きつけられる。大学近くの銃砲店を訪れたマチは、店主の堀井から、猟友会会長の新田を紹介される。彼は父の会社の取引先である新田工作所の社長だった。新田に、ハンターの情報交換の場になっている事務所に遊びに来るよう誘われ、父と一緒に行ってみることに。
新田は部屋の隅にあるポットで人数分のインスタントコーヒーを淹れると、一口飲んで「さて」と切り出した。
「とりあえず、何から聞きたい?」
マチの背後にいる父・義嗣ではなく、マチの方を見てにこりと微笑む。マチはすぐに持参してきたメモ帳とペンを手にとった。
「手続きや免許取得までがまず大変と聞くので、その辺りの流れや、具体的に何が大変なのか教えて頂けますか」
うん、と新田は頷く。熊野は腕を組んでうんうんと頷いた。よほど大変だったのだろう、とマチにも察しがつく。
「鉄砲関連の手続きっていっても色々あるんだけど、とりあえず、俺らがやってる猟友会の立場から、ベーシックな鹿撃ちや害獣駆除やってる猟師になるための免許とかから説明しておこうか」
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source : 週刊文春 2024年10月31日号