2004年、『博士の愛した数式』刊行時以来、2度目の登場となった小川洋子さん。6年ぶりの新作長編小説『サイレントシンガー』についてお話を伺いました。静謐で、不思議な、小川洋子ワールドの深淵をのぞき込みます。


(おがわようこ 作家。1962年生まれ、岡山県出身。88年海燕新人文学賞を受賞しデビュー。91年「妊娠カレンダー」で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、20年『小箱』で野間文芸賞を受賞。07年フランス芸術文化勲章シュバリエ受章。著書多数。)

 

小川 ご無沙汰しています。最後に阿川さんにお会いした後に、お父さまの阿川弘之先生がお亡くなりになって。大変でしたね。

阿川 いえ、そんな。父が亡くなったのが2015年なので、10年ぶりです。小川さんは父の『きかんしゃ やえもん』を愛読してくださっていたそうで。

小川 もう暗唱できるぐらい。子供に何回も読みましたから。

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source : 週刊文春 2025年7月3日号