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思い切って扉を開けると…

 もしかすると、お酒に酔って、部屋を間違えているのかもしれないと思った私は、扉越しに声をかけてみました。

「あの、部屋を間違えていますよ」

 私の声が聞こえていないのか、男性は何の反応もなくインターフォンを押し続けます。

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 このままでは主人も起こしてしまうと思った私は、思い切って扉を開けました。そして、少し大きめの声でこう言いました。

「あの、部屋を間違えていますよ、インターフォンを押すのを止めてください」

 やはり男性はお酒に酔っているのか、うつろな目で少しふらふらした感じでした。そしてもう一度帰って下さいと言おうとしたその時でした。

写真はイメージです ©iStock.com

「ヒック」

 その男性は、しゃっくりをしながら、体をビクッと痙攣させたように動かしたのです。

「ヒック、ヒック、ヒック」

 男性は何度もしゃっくりしながら体をビクつかせました。

 間違いなくお酒に酔っていると確信した私は、真夜中に起こされた腹立たしさを隠さず大きな声で「もう帰って下さい」と言って扉を強く閉めました。

 鍵をしてチェーンロックを掛けると、私は寝室に向かって廊下を歩き出しました。

 その瞬間、突然耳元ではっきりと聞こえたんです。

「ヒック」

 私は驚いて振り向きました。すると、そこで夢から覚めたんです。