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思い切って扉を開けると…
もしかすると、お酒に酔って、部屋を間違えているのかもしれないと思った私は、扉越しに声をかけてみました。
「あの、部屋を間違えていますよ」
私の声が聞こえていないのか、男性は何の反応もなくインターフォンを押し続けます。
このままでは主人も起こしてしまうと思った私は、思い切って扉を開けました。そして、少し大きめの声でこう言いました。
「あの、部屋を間違えていますよ、インターフォンを押すのを止めてください」
やはり男性はお酒に酔っているのか、うつろな目で少しふらふらした感じでした。そしてもう一度帰って下さいと言おうとしたその時でした。
「ヒック」
その男性は、しゃっくりをしながら、体をビクッと痙攣させたように動かしたのです。
「ヒック、ヒック、ヒック」
男性は何度もしゃっくりしながら体をビクつかせました。
間違いなくお酒に酔っていると確信した私は、真夜中に起こされた腹立たしさを隠さず大きな声で「もう帰って下さい」と言って扉を強く閉めました。
鍵をしてチェーンロックを掛けると、私は寝室に向かって廊下を歩き出しました。
その瞬間、突然耳元ではっきりと聞こえたんです。
「ヒック」
私は驚いて振り向きました。すると、そこで夢から覚めたんです。