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「このマンション内で亡くなられた方は…」新居に響いた“不気味な音” 新婚夫婦は何を見てしまったのか?

続々・怪談和尚の京都怪奇譚――しゃっくり

2022/08/14

source : 文春文庫

genre : ライフ, 読書,

 京都・蓮久寺の三木大雲住職のもとには、助けを求める人が絶えない。ポルターガイストに悩まされている、人形をお祓いしてほしい、さまよう霊を供養成仏させてほしい……。

 そんな実話や自身の体験など、現代の怪談、奇譚の数々を収めた『続々・怪談和尚の京都怪奇譚』(文春文庫)より、背筋も凍る「しゃっくり」を特別公開。見えない世界に触れることで、あなたの人生も変わる……のかもしれない。

◆◆◆

 このお話は、ある新婚のご夫婦からお聞きしたことです。

 お二人は、新居としてマンションを買われました。

 引っ越しの荷物が入った段ボールも、まだ半分くらいしか荷ほどきが出来ていない頃のことですが、と奥様は前置きして話し始めました。

深夜の訪問者

「深夜、寝室で寝ていると、突然インターフォンが鳴ったんです」

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」

 突然、鳴り響いた音に驚いて私は目が覚めました。主人は、隣でぐっすり寝ています。時計に目をやると、深夜1時頃でした。

「こんな時間に誰が?」

 主人を起こそうかとも思いましたが、明日も仕事があるので起こすのは可哀想だと思って、起こしませんでした。

 そんな事を考えている間にも、ピンポーン、ピンポーンとインターフォンは鳴り続けます。

写真はイメージです ©iStock.com

 知人にはまだ新居の住所も教えていないし、ましてやこんな時間に訪れる知り合いなどは思い当たりません。

 こみ上げてくる恐怖心を抑えて玄関ドアの前まで行き、ドアスコープを覗いてみました。

 するとそこには、痩せ細った体を少し傾けた寝間着姿の男性が一人立っていました。

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」

 その男性は、無表情にただインターフォンを押し続けています。

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