京都・蓮久寺の三木大雲住職のもとには、助けを求める人が絶えない。ポルターガイストに悩まされている、人形をお祓いしてほしい、さまよう霊を供養成仏させてほしい……。そんな実話や自身の体験など、現代の怪談、奇譚の数々を収めた続々・怪談和尚の京都怪奇譚(文春文庫)より、背筋も凍る「廃村マニア」を特別公開。人里離れた“曰く付きの廃村”にやってきた4人の男子大学生。そこで彼らを待ち受けていたのは――。(全2回の2回目/前編から続く

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 村の入り口付近には、街灯が一つだけポツンと立っていました。

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 4人で村へと続く道を見ると、街灯の明かりが薄暗く届いて、荒廃した数軒の家が、不気味に浮かび上がっていました。普段は心霊的なものを信じない僕らでしたが、お年寄りから聞いた話もあり、さすがにこの時は怖いと感じました。

「さて、今日は暗いからテントを張って、晩ご飯を作ろう」

 僕がそう声を上げると、

「よし、それじゃあ荷物を降ろそう」

「そうしよう」

 と恐怖をかき消すように、皆で明るい声で言い合いました。

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なぜか単独行動を取り始めた仲間

「いや、僕は夜の廃屋の写真が撮りたいから奥まで行ってくる」

 明るい空気を破るかのように、青木君が急にそう言い出したのです。なぜだか青木君を止められる雰囲気ではなく、そのまま黙りこんでいると、青木君は、黙って車からカメラだけを取り出すと、さっさと村の中に続く道を進み出しました。

 一緒に行こうかと声をかけましたが、それを拒否して、一人で道を進んで行ってしまいました。

 普段の青木君は、おとなしく、柔和な性格で、みんなとの和を優先するタイプで、こんな風に単独行動を取る人ではなかったので、残された僕たち3人は驚いていました。

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 それでも気を取り直して、早くテントを張ろうと、車から食べ物やその他必要な物を下ろし始めました。

 どうせ人なんか来ないので、村の入り口の道の真ん中にテントを張り、簡易テーブルにコンロなどを設置して、レトルト物の食事を用意していた頃に、青木君が帰ってきました。

「おう、青木、良い写真撮れたか」

 そう1人が声をかけると、その時も黙って頷くだけでした。

 みんなで食事をしながら、青木君に色々と話を振りましたが、ほとんどしゃべらずに、食事を終えると「先に寝る」とだけ言い、テントの中に入って行きました。