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行方不明になった男が、故郷を廃村に追い込んだ…旧住人が語った“戦慄の記憶”

行方不明になった男が、故郷を廃村に追い込んだ…旧住人が語った“戦慄の記憶”

続々・怪談和尚の京都怪奇譚――「廃村マニア」#1

2020/08/12

genre : エンタメ, 読書

 京都・蓮久寺の三木大雲住職のもとには、助けを求める人が絶えない。ポルターガイストに悩まされている、人形をお祓いしてほしい、さまよう霊を供養成仏させてほしい……。そんな実話や自身の体験など、現代の怪談、奇譚の数々を収めた続々・怪談和尚の京都怪奇譚(文春文庫)より、背筋も凍る「廃村マニア」を特別公開。見えない世界に触れることで、あなたの人生も変わる……のかもしれない。(全2回の1回目/後編に続く

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 ここ数年、日本は深刻な人口減少が問題になっております。それに伴う過疎化も進み、廃村を迎える所も増えてきました。

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 私は何カ所かの廃村に行かせていただいた事があります。その中には、建物も家の中にあったものも、そのままになっており、そこだけ時間が止まってしまっているように感じます。

 まるでご飯の時に、急に家を出て行った様に、台所のテーブルには、ご飯茶碗や、湯飲みがいくつか置いたままになっていました。

©iStock.com ※写真はイメージです

 そんな空き家が並ぶ廃村に、写真を撮りに行かれる方や、見学に行かれる方々がおられます。いわゆる廃村マニアと呼ばれる方々です。もちろん、空き家に入る時には、家主の方を探して、許可を得てから行かれるようです。

 そんな廃村マニアである男子大学生4名がお寺にお経をあげて欲しいとお越しになりました。学生さんたちは他の廃村マニアの方々と同様に、廃墟の写真を撮ったり、廃村に至るまでの歴史などを調べるのが趣味なのだと話した後、恐ろしい体験をお話しくださいました。 

「何があっても自己責任でお願いします」

 全国各地にある廃村の中には、怪奇現象が起こるといわれる廃村があります。僕たちは、今まで一度も怪奇現象に遭ったことがなかったので、そんな話は信じない方でした。日常でも心霊経験は一度もなく、霊感と呼ばれるものが自分たちには全くないと思っていました。

 そんなある日、とある県に、小さな廃村があるという情報があり、皆で行こうということになったのです。場所は、大学から電車で数時間、そこからレンタカーを借りて、車で数時間という場所です。とても日帰りは難しいので、宿泊することになりました。