文春オンライン

若者が憧れる「普通のものになる前のオタク文化があった秋葉原」とは 桃井はるこさんが語る“ときメモ”騒動「秋葉原初のコスプレ店員は私なんじゃないかな(笑)」

桃井はるこさんインタビュー#2

2022/12/29
note

――それがメジャーからCDを出し、大会場で単独ライブも行うところまで繋がりました。私も当時、解散直前のものも含めて、何度も足を運んでいます。

桃井 そうなんだ。チケット取るの、大変だったでしょう?

――ですね。特に解散直前のものは争奪戦でした。

ADVERTISEMENT

 

桃井 そうした活動と並行するような形で、ロフトプラスワンで今も続けているトークライブが始まって。そこからの流れで、文化放送で『小野坂・桃井のバーチャラジオ電脳戦隊モモンガー』というラジオをやらせていただくようになり、それを聴いてくださっていたアニメ関係者の方から『The Soul Taker~魂狩~』の中原小麦役のオーディションのお話をいただいて合格し、声優としての活動も始まった。まさか自分が、メジャーなタツノコプロのアニメ作品に関わることになるとは思ってもみませんでしたね。HPに載せていたメールアドレスから普通に連絡が来たので、釣りだと思ったんですよ(笑)。

――それはそうですよね(笑)。

桃井 そのころ、「いちごGO!GO!」がどうやら秋葉原やネットで話題になっていると噂が耳に入ってきて、タツノコプロのアニメに出ている声優が、美少女ゲームの、アキバ系の歌を歌うのは大事なことなのではないか? なんてことも考えていました。

「私は美少女ゲームで遊ぶことを後ろ暗いと思っていない」

――どういうことか、もう少し詳しくお聞きしても?

桃井 いわゆる18禁ゲームの主題歌は、CD化されても、誰が歌っているのかを書いていないことが多かったんです。書いてあったとしても、その曲だけのための別名義、みたいなことが多くて。もちろん今でも、事情があってそうなっているケースがあると思いますが、私は美少女ゲームで遊ぶことを後ろ暗いと思っていないし、立派なひとつの作品として捉えたいな、と思ったんです。……いやもう、もっとシンプルに何が困るって、自分が「この曲いいな!」と思っても、名前がわからないとそこから辿れないんですよ!

©️iStock.com

――音楽好きだと、関連曲をクレジットでディグれないのは腹が立ちますよね。なるほど。

桃井 なので、ちゃんと辿れるように、美少女ゲームの主題歌で自分の名前を出して活動出来るようになってほしいと思いました。その頃から佐藤ひろ美さんやbambooさんはご自身の名前で活動されていましたが、メジャーレーベルで仕事をしている、アニメ声優が名前を出して活動することで、もっとその流れを推し進められる。これも私に与えられた使命だと思ったんです。