「職業:フリーランスのアンドロイド」

 何度読み直してもどんな仕事なのか分からないこの職業を語るのは、これまた人間なのかアンドロイドなのか、何回見つめても判断に困るSAORIさんだ。

 いったい、「フリーランスのアンドロイド」とはどういう職業なのだろうか? SAORIさんに、仕事内容や始めたきっかけに至るまで、詳しく話を聞いた。(全2回の1回目/2回目に続く)

ADVERTISEMENT

アンドロイドモデル・SAORIさん ©橋本篤/文藝春秋

◆◆◆

職業は「フリーランスのアンドロイド」

――SAORIさんの職業はフリーランスのアンドロイドなんですよね。そもそもフリーランスのアンドロイドとは?

SAORIさん(以下、SAORI) 初めてお会いした方には、ほぼ100%される質問です(笑)。簡単に言うと、事務所に所属していないフリーランスのモデルです。モデルの中でも「アンドロイド役」を求められることが多いから、フリーランスのアンドロイドという肩書で活動しています。

 新型コロナが流行する前は、イベント出演のお仕事が多かったのですが、今はYouTubeの活動がメインになっています。ただ、最近は少しずつイベント出演も増えてきていますね。もちろん、どれも「アンドロイド」としてのお仕事です。

――SAORIさんがアンドロイドを演じている動画を見ると、「人間とアンドロイド、どっち??」と頭が混乱するくらい、アンドロイドらしさがすごい。

SAORI アンドロイドモデルのときは、瞬きや黒目の動き、顔の動かし方を意識しているかな。あとは、首をゆっくり水平に動かすと、なんとなく人間らしくない違和感が出るんです。それがアンドロイドっぽさにつながっていると思います。

 あとはアンドロイドとしてイベントのブースに立つとき、目の前を人が通ったら、その人のことをガン見するようにしています(笑)。普段、人にずっと見続けられることってあまりないじゃないですか。だからこそ、人間らしくない雰囲気を演出できる。とにかく、その人の脳裏に少しでも違和感を焼き付けられるといいな、と。