ある意味、私の存在自体がアンドロイドモデル
――いろいろ工夫されているのですね。
SAORI でも、意識しているのはそれくらい。私は、人間ひとりひとりに「らしさ」があるように、アンドロイドにもそれぞれ「らしさ」があるんじゃないかなと考えていて。
例えば、マンガ『攻殻機動隊』の草薙素子も、ゲーム『ニーア オートマタ』の2Bも、アンドロイドやサイボーグというのは同じだけど、キャラクターは全然違う。だから、「アンドロイドといえばこれだ!」みたいな型はかっちり決めていないです。
あと、「アンドロイドモデルといえばSAORI」と認識してくださる方々が多いのも、私が型にとらわれないで活動できている理由かもしれません。
ありがたいことに、「アンドロイドモデル」とGoogle検索すると、トップに私の写真や記事が出てくるんですよ。それを見て、「アンドロイドっぽさってこういうことか」と思う人もいるはず。だからある意味、私の存在自体がアンドロイドモデルの型になっているのかなって。
――たしかに、エクステをつけたり髪色を変えたり、型にはまっていないイメージがあります。
SAORI でも黒髪ボブが一番楽だから、結局すぐに元に戻しちゃうんですけどね。
ただ、アンドロイドモデルの仕事を始めた時は、アンドロイドっぽいメイクを研究したり、アンドロイドの知識をつけるために専門書を読んだりして、かなり型にはまろうとしていましたね。専門書は難しすぎて途中で挫折しちゃいましたけど(笑)。当時はやっと来たチャンスを逃さないために、必死だったんです。
「東京ゲームショウ2017」でアンドロイド役が大ハマり
――アンドロイドモデルを始める前はどんな仕事をしていたのでしょうか。
SAORI 普通のモデルをしていました。でも、全然仕事がなかったですね。私、笑顔を作るのが苦手なんですよ。気を抜くとすぐ無表情になっちゃう。それが、モデルとして活動するうえで致命的だったんです。
――普通のモデルから、アンドロイドモデルとして活躍するようになったきっかけは?
SAORI 「東京ゲームショウ2017」でアンドロイドモデルの依頼を受けたことです。
アンドロイドが人間と共存するゲームの世界観をイベント内で体感してもらうために、ブース内でアンドロイド役をしてほしいって。これまで聞いたことのないオファーに、最初は「どういうこと?」と戸惑いました(笑)。
私のモデル仲間にも東京ゲームショウへの出演依頼があったのですが、その子たちは可愛い衣装を着て壇上に立つ仕事で。アンドロイド役が嫌だとまでは思わなかったけど、「私もそっちがよかったな……」と思うことはありましたね。