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“うたのおにいさん”就任直後に右耳が突発性難聴に 「子どもが何を言ってるかわからない」瞬間に坂田おさむ(70)が取った“優しい行動”

坂田おさむインタビュー#2

2023/07/22

genre : エンタメ, 芸能

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「これはヤバいな。どうなっちゃうんだろう」

──でも、よりによって《うたのおにいさん》就任と同時期に耳の病気とは、ショックだったのでは。

坂田 そうだなぁ……「これはヤバいな。どうなっちゃうんだろう」と、すごく不安だったけど。でも、受け入れた。

©榎本麻美/文藝春秋

──《うたのおにいさん》として、耳はとても大事だと思いますが、支障はなかったですか?

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坂田 自分が歌うときは、音の聴こえ方がステレオじゃなく、モノラルになるってことですね。でも、そうやって聴き取ろうと思って、左耳だけで聴く人生を、受け入れた。

 歌よりも大変だったのは、話しかけられることかな。

番組収録中も「子どもが何を言っているか、聞こえない」

──子どもたちから?

坂田 そう。番組収録では、僕の周りに子どもが集まって、会話しながら歌うときもあるのね。でも、右側に子どもが来ると、何を言ってるのかわからないの。

 だから、その対応が結構大変だった。おしゃべりが聞き取れないから、「はいはい、こっちおいで」ってその子を左側に来させて、耳を近づけて話を聞いてました。

坂田が『おかあさんといっしょ』で《うたのおにいさん》を務めていた頃。中央左が坂田、中央右は《うたのおねえさん》神崎ゆう子。『NHKおかあさんといっしょ 最新ベスト30』(ポニーキャニオン)

──坂田さんのつくる歌は、たとえば電車のレールや道端の花など、光が当たりにくいものへの温かいまなざしを感じます。歌づくりには、耳の不自由も影響していますか。

坂田 いや、耳のことだけじゃないですね。「人生は楽しい、うれしいばかりじゃない」という思いは、もっと以前からありました。

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