『おかあさんといっしょ』の7代目《うたのおにいさん》として、長年活動する坂田おさむ(70)。今回の撮影でギター持参を打診したところ、「大丈夫です。電車移動ですが、背負うのは慣れてま~す」と本人から直接、快諾のメールが届いた。子ども番組界の大御所ながら、気さくな《おさむおにいさん》ここにあり、である。

 また、メールには「右耳が突発性難聴で聞こえず、聞き返すことがあるかもしれません。もう38年です」とあった。だがテレビで見る限り、坂田の耳に不自由な様子はない。38年前といえば、坂田が《うたのおにいさん》になった年だ。彼はずっと聞こえない耳を抱えたまま、「おさむおにいさん」を務めていたのだろうか。(全3回の2回目/続きを読む)

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©榎本麻美/文藝春秋

《うたのおにいさん》合格と同時に突発性難聴に

──取材前のやりとりで、お耳が聞こえにくいと伺いました。

坂田 ええ。右耳が突発性難聴でね。聞こえにくさと耳鳴り、両方かな。もう38年になります。

©榎本麻美/文藝春秋

──では、坂田さんが《うたのおにいさん》になった頃?

坂田 そう。『おかあさんといっしょ』のオーディションに受かって、収録が始まる3、4カ月ぐらい前だと思う。ちょっと疲れているときに、海外ミュージシャンの来日コンサートに行ったのね。たぶん、それがきっかけ。

 そんなに大音量じゃなかったんだけど、そのコンサート以来、「あれ、何かおかしいぞ」と。

──病院へは?

坂田 すぐに病院に行けばよかったんだけど、タイミングが遅れちゃった。ちょうど『おかあさんといっしょ』の収録準備が始まったのもあるし、そのうち治るかなと思ってて。

 でも、半年経っても調子が戻らなくて、病院に行ったら、突発性難聴だと。耳鼻科の先生には「もっと早く処置しておけばよかったのに、もったいなかったね」と言われた。

──そうでしたか。イヤホンや補聴器などは?

坂田 幸い、左の耳は聞こえるので、特に何も使っていないです。ステージもこのままで。