2/4ページ目
この記事を1ページ目から読む
「これはヤバいな。どうなっちゃうんだろう」
──でも、よりによって《うたのおにいさん》就任と同時期に耳の病気とは、ショックだったのでは。
坂田 そうだなぁ……「これはヤバいな。どうなっちゃうんだろう」と、すごく不安だったけど。でも、受け入れた。
──《うたのおにいさん》として、耳はとても大事だと思いますが、支障はなかったですか?
坂田 自分が歌うときは、音の聴こえ方がステレオじゃなく、モノラルになるってことですね。でも、そうやって聴き取ろうと思って、左耳だけで聴く人生を、受け入れた。
歌よりも大変だったのは、話しかけられることかな。
番組収録中も「子どもが何を言っているか、聞こえない」
──子どもたちから?
坂田 そう。番組収録では、僕の周りに子どもが集まって、会話しながら歌うときもあるのね。でも、右側に子どもが来ると、何を言ってるのかわからないの。
だから、その対応が結構大変だった。おしゃべりが聞き取れないから、「はいはい、こっちおいで」ってその子を左側に来させて、耳を近づけて話を聞いてました。
──坂田さんのつくる歌は、たとえば電車のレールや道端の花など、光が当たりにくいものへの温かいまなざしを感じます。歌づくりには、耳の不自由も影響していますか。
坂田 いや、耳のことだけじゃないですね。「人生は楽しい、うれしいばかりじゃない」という思いは、もっと以前からありました。