──神様からの。
坂田 そう。贈りものというかね。だから、《うたのおにいさん》になったのを窮屈だと感じたことは一度もないし、選ばれたのは本当にありがたいと思いますよ。
小児がん病棟で「来年もこの子たちは生きているだろうか」
──そう思い始めたのは、いつ頃からですか。
坂田 《うたのおにいさん》になってから、大きいステージで歌う機会もたくさんあったけど、たとえば病院の小児がん病棟に呼ばれて歌うこともあるんです。そうするとさ、一期一会なんだよ。
──今年行ったときにいた子が、翌年にはいない……という場合もありますね。
坂田 そうです。だから、「今、この子たちと一緒に歌えるのは、本当に大事な時間、何にも代えられない時間をもらえたんだな」と思うようになって。
横になったまま聴いている子もいるしね。僕が手を握っているこのぬくもりが、いつまで続くのか、誰にもわからない……と思うとね、これはおろそかにできない。「ちゃんと歌わなくちゃ、一緒に楽しい時間を過ごそう」という思いになりましたね。
それにね、子どもって厳しいよ。
子どもの前では、全力でやるしかない
──観客が子どもだと、むしろ厳しい?
坂田 そう。子どもは、大人のように忖度しないから。たとえば、コンサートで歌手の声がかすれてたら、大人は「喉の調子が悪いのかな」「疲れてるのかも」とか、いろいろと気づかってくれるでしょう。
でも、子どもはそういうのが一切ない。だから、「今、歌っている」というその時間が、すごく大事。ちゃんと歌ってないと、子どもはつまらなくなって、すぐどこかに行っちゃうんですよ。
──そうですね。子どもは集中できる時間も短いですし。
坂田 だから、こっちは本気で、全力でやるしかないのよ。そうすると、子どもたちの反応も違ってくる。おさむおにいさんは、子どもから教わってばかりです。
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