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〈総額1022億円契約〉「それじゃ、おもしろくないでしょう」ホームラン王の大谷翔平がシングルヒットをあえて狙わないワケ

〈総額1022億円契約〉「それじゃ、おもしろくないでしょう」ホームラン王の大谷翔平がシングルヒットをあえて狙わないワケ

『大谷翔平は、こう考える 不可能を現実に変える90の言葉』より #4

2023/12/12
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ファンを大切にする大谷の思いが込められた言葉

(選手生活は)ファンの方々、球団の方々とつくっていくものだと思っています。 

皆さんの応援で僕を成長させてほしいなと。 

僕もそれに応えて頑張っていきたい

 

(「大谷翔平 二刀流メジャーリーガー誕生の軌跡」P71)

「ファンが選手を育てる」という言い方があります。

 野球やサッカー、フィギュアスケートなど会場やスタジアムに多くのファンが見に来てくれて、応援してくれる時、そこから生まれる声援や期待、そして緊張感は、すべてのアスリートにとって「頑張ろう」という気持ちを起こさせ、成長への糧となるのです。

 もちろん負けが込んだり、ひどいプレーをすれば、声援は罵声に変わることもありますが、それも含めてアスリートにとってファンはありがたい存在と言えます。大谷翔平は日本でもメジャーでもファンを大切にする選手として知られていますが、その思いを言葉としてはっきり表したのがエンゼルスでの入団会見でした。エンゼルスを選んだ理由に触れたあと、こんな言葉を口にしました。

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「(選手生活は)ファンの方々、球団の方々とつくっていくものだと思っています。僕自身はまだまだ完成した選手ではないですし、皆さんの応援で僕を成長させてほしいなと。僕もそれに応えて頑張っていきたいと思います」

「応援よろしく」は誰もが言う言葉ですが、選手生活を「ファンの方々とつくっていく」は大谷独特の言い方です。誰もやったことのないことをやるためには、何よりファンの後押しが必要だという思いが込められた言葉なのではないでしょうか。 

©文藝春秋

流し打ちのヒットより豪快なホームラン

ホームランを打てるバッターが毎試合、逆方向のシングルヒットを狙うのを見ていて楽しいかと言われたら、僕は絶対に楽しくないと思う

 

(「Number」1048 P12)

 昔、日本では「王シフト」というのがありましたが、メジャーリーグで大活躍する大谷翔平対策として、2022年までは一、二塁間に野手を3人配置する「大谷シフト」が敷かれることがよくありました。左バッターにとっては不利なシフトですが、なかにはこうした極端なシフトの裏をかいてセーフティバントを試みたり、野手が守っていないところを狙って打つという考え方もあります。

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