ロサンゼルス・ドジャースと10年7億ドル(約1022億円)の契約で合意した大谷翔平。2023シーズンはMLB史上初となる2度目の満票MVPに輝き、ホームラン44本で、ホームラン王のタイトルも獲得している。なぜ大谷選手は、世界一厳しいメジャーリーグという舞台で、これほどの活躍ができるのだろうか?

 ここでは、大谷翔平の高校時代から2023年WBC優勝までの発言を厳選し、その言葉の背景やエピソードを解説した『大谷翔平は、こう考える 不可能を現実に変える90の言葉』(PHP文庫)より一部を抜粋してお届けする。(全4回の4回目/3回目から続く) 

©文藝春秋

◆◆◆

ADVERTISEMENT

多くの球団が獲得に名乗りを上げたのは当然のこと

オファーしてくれたすべてのチームに対して、ベストな投球をしたいと思っています。 

スカウトに乗り出したのが間違いでなかったと思っていただきたいです

 

(「大谷翔平 二刀流メジャーリーガー誕生の軌跡」P117)

 大谷翔平がメジャー移籍の意志を表明した際、関心を示さない球団はありませんでした。日本ハムに2000万ドルの譲渡金を支払ったとしても、投打二刀流でМVPを獲得するほどの活躍をしたうえにチームを日本一に導いた、伸び盛りの23歳のスター選手をバーゲンセールのような金額で獲得できるのですから、多くの球団が獲得に名乗りを上げたのは当然のことでした。

オファーへの感謝と決意の言葉

 大谷はその中からドジャース、エンゼルス、マリナーズ、レンジャーズ、パドレス、ジャイアンツ、カブスの7つの球団に絞ったうえで面談を行い、最終的にエンゼルスを選んでいます。選ばれなかった球団のGМの1人は残念な思いはしながらも、大谷の真摯な態度に感銘を受けたと話しています。大谷の真摯な態度、相手への敬意はその後の対戦にも表れます。

 2018年5月、大谷は候補に残った球団の1つシアトル・マリナーズと対戦、7回途中まで投げて2失点、6奪三振を上げ、3勝目を記録し、こうコメントしました。 

「オファーしてくれたすべてのチームに対して、ベストな投球をしたいと思っています。スカウトに乗り出したのが間違いでなかったと思っていただきたいです」

 オファーへの感謝とメジャーで成果を上げてみせるという決意のこもった言葉です。