大谷翔平(29)が所属する大リーグ・エンゼルスは7月27日、大谷について「今季途中のトレードはない」と発表した。8月1日(日本時間同2日)の期限を待たず、投打の中心に大谷を据え、9年ぶりのプレーオフ進出を目指す方針を明確にしたことになる。日米で話題を呼んできた大谷の去就問題が一応の決着をみた。
今後の焦点は、フリーエージェント(FA)になって他チームと交渉を開始する前に、エンゼルスが契約を延長できるかどうかだ。大谷は「(エンゼルスは)ここまでプレーしてきたチームなので、もちろんファンの人を含めて大好き」と語るなど、以前からチームへの愛着を表明しているので、契約が成立する可能性は小さくない。
ただ一方のエンゼルスには、是が非でも大谷との複数年契約にこぎ着けたい事情があるという……。
「オオタニを見るために1試合1万人観客が増えている」
そもそも大谷のトレード騒動は、6月下旬からのエンゼルスの失速に端を発している。獲得候補には、ヤンキース、レイズ、オリオールズ、ドジャースなど地区優勝やプレーオフ進出を争う多くの球団が浮上した。
実際、エンゼルスの現場レベルでは、他球団の若手有望株と引き替えに大谷を放出するプランを用意していた。しかしある米大手マネジメント会社の代理人によると、オーナーのアート・モレノ氏には、大谷放出の選択肢は一切なかったという。
現場の論理が「チーム強化」を最優先する一方で、モレノ氏は経営的な視座から大谷を捉えているからだ。これまで球団に有形無形の財産をもたらし、これからももたらすであろう大谷を簡単に手放すことはあり得なかった。
大谷の二刀流によるグラウンド内での貢献度は言うまでもない。さらにグラウンド外でも、複数の日本企業とのスポンサー契約や、「オオタニを見るために1試合1万人観客が増えている」とも試算される観客動員への寄与、さらに球団のブランドイメージ向上など、大谷がチームに所属するメリットは計り知れない。