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 エンゼルスは大谷に残留を決意させるために、トレード市場でも大きな動きを見せている。「エンゼルスで勝ちたい」と願う大谷とともにプレーオフを目指すために、ホワイトソックスからルーカス・ジオリト、レイナルド・ロペスの両投手をトレードで獲得した。若手の有望株を複数放出してまで、チームのウィークポイントの投手力を強化した。

 ペリー・ミナシアンGMは「我々はオオタニを愛している。今後もチームにいて欲しい選手。ここは(二刀流で)プレーするのに素晴らしい場所。アピールできることもたくさんある。長い間、ここでプレーするのを見たい選手」と契約延長の意欲をアピールした。 

兜パフォーマンスもすっかり定着 ©AFLo

 確かに二刀流の過酷なプレースタイルとの親和性を考えれば、温暖な気候の西海岸にあるエンゼルスの環境は悪くない。チームに優勝を目指す意志を感じれば、条件面はほどほどでも大谷が残留を決意すると見る人は多い。現時点で、大谷との契約競争でエンゼルスがアドバンテージを持っているのは確かだ。

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 もともとエンゼルスの資金力は、ドジャース、メッツなどビッグマーケットの球団に見劣りしてきた。貧しいメキシコ系の移民の子から財を成したモレノ氏はシビアな経営感覚でも知られ、昨夏には球団売却の意向を表明。

 1億8400万ドル(当時のレートで約221億円)で買収した2003年から、球団の資産価値は一部試算で30億ドル(約4200億円)に膨れ上がったとも言われる。そして身売りの際に、売却価格を左右する“付加価値”が大谷なのだ。

「オオタニがいなければ球団の資産価値は大きく下がる」

 昨年の夏に始まった球団の売却交渉が今年1月に突如中止されたのにも、大谷の存在が影響している。前出の代理人によると、大谷との長期契約が保証されていなかったことが一因にあったという。

「オオタニは球団売却時に優良な資産として評価されるので、いるといないとでは球団の資産価値は大きく違ってくる。球団売却交渉が進むにつれて、モレノはオオタニの存在の大きさを再認識したようだ。だからこそ1年契約だった昨年の売却交渉を取りやめ、複数年で契約しなおした上で、あらためて球団をセールスに出そうと考えているのではないか」

大谷翔平は来シーズンどこへ? ©文藝春秋
 

 大谷の次期契約は、メジャー史上最高の6億ドル(約820億円)にのぼるのではと報道されている。トレード期間には球団に生殺与奪を握られていた大谷だが、トレード期限の終了を境に立場は完全に逆転。今度はエンゼルスが大谷サイドの顔色を窺いながらオファーを出すことになる。