今月16日、エンゼルスの大谷翔平選手が、MLB史上初となる2度目の満票MVPに輝いた。今シーズンはホームラン44本で、ホームラン王のタイトルも獲得。なぜ大谷選手は、世界一厳しいメジャーリーグという舞台で、これほどの活躍ができるのだろうか?
ここでは、大谷翔平の高校時代から2023年WBC優勝までの発言を厳選し、その言葉の背景やエピソードを解説した『大谷翔平は、こう考える 不可能を現実に変える90の言葉』(PHP文庫)より一部を抜粋してお届けする。(全2回の1回目/2回目に続く)
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目標はいつだってはるか先を設定
『目標を達成したな』って自分が思う瞬間が、あまりない
(「別冊カドカワ 大谷翔平」P180)
大谷翔平は日本でもメジャーリーグでも二刀流として数々の記録を打ち立てています。新人王やМVPも獲得し、日本では投手の三冠なども獲得しています。しかし、こうした場合もどちらかと言えば淡々とした態度をとっていますし、節目となる勝ち星や節目となる本塁打記録、あるいは「日本人メジャーリーガーとして初めて」といった記録にはこだわりを見せていません。
大谷の目標に対する考え方はこうです。
小学2年生でリトルリーグに入った時の大谷の目標は「ゲームに出たい」でしたが、スタメンで出られそうになった時には、「4番を打ちたい」に変わっていました。4番を打てそうになった時には、「エースとして投げたい」に変わり、やがてプロ野球選手になりたいなと思い始めた頃には、「高校3年生の時に全国で30番以内(ドラフトで指名される高校生が30~40人なので)にうまい選手になろう」と考えています。
高校に入り、ドラフトにかかりそうだなと思い始めた時には、「1年目に何勝したい」と考えていたといいますから、大谷は目標を掲げて、「目標を達成したな」と感慨に浸る間もなく、その「はるか先の目標」を追い求めていたといえます。「世界一の野球選手になりたい」と考える大谷にとって、目標はいつだってはるか先にあるのです。