現地時間の8月23日、米大リーグのロサンゼルス・エンジェルスは本拠地でシンシナティ・レッズと対戦。大谷翔平は2番指名打者兼投手として14日ぶりに「二刀流」登板を果たした。

 初回表を三者凡退に仕留め迎えた初打席、大谷は今シーズン初対戦となるアンドリュー・アボットの直球を初球からスタンドへと叩きこむ。約134.7メートルの飛距離を記録したこのボールはリーグトップの第44号ホームランとなり、球場には拍手の嵐が巻き起こった。

 異変が起こったのはその直後のイニングだ。

ADVERTISEMENT

「26球目のストレートがファールになった後、大谷はグローブを外したまま次の球を投げようとしませんでした。すぐネビン監督や通訳の水原さんらが彼のところに駆けつけたのですが、マウンドに集まる前から大谷は怪訝そうな顔で首を小さく横に振っていて明らかに様子がおかしかったです。そして1分も会話をしないうちにベンチへ戻っていきました」(現地入りしているスポーツ紙記者)

緊急降板する大谷  ©時事通信

大谷選手の異変に球団側は気づいていた?

 異例の2イニングで緊急降板した大谷翔平。3回裏の打席にも代打が送られ、この試合から完全に退く形となった。ところが、同日に行われたダブルヘッダー2試合目、大谷は「2番DH」として先発し、5打数1安打のフル出場。

 いったい大谷の身になにが起こったのか───

 前出のスポーツ紙記者が語る。

「大谷選手は7月下旬あたりから右腕のけいれんが目立つようになっていました。8月16日のレンジャース戦では腕の疲労を理由に先発を回避しています。ただ、それでも打撃に専念して投手としては2週間の休養を挟んだため、周りからは今回の試合は万全な状態で投げられるだろうと言われていました」

©文藝春秋

 久しぶりの二刀流登板にファンの期待が高まるなかでの緊急降板。しかし球団側ははじめから彼の‟限界“に気づいていた節があるという。

「先発投手が2回で緊急降板したわけですから、通常であれば中継ぎのピッチャーがマウンドにあがるはず。しかし大谷降板の後にリリーフしたのは先発要員のアンダーソンでした。球団は本人の意思を尊重して登板はさせたが、大谷選手の‟異変“を試合前から見越していて、万が一の場合にそなえてアンダーソンに準備させていたのだと思います」(同前)

 エンジェルスは現地時間8月23日に大谷の右肘内側靱帯(じんたい)損傷を発表。当面はチームに同行し指名打者としての出場を続けるが、シーズン内の登板はないと明言した。