「去年がそこそこ良かったので、去年と同じような成績を残そうと思っていたら、その基準をクリアするのさえ難しい」
去年どんな素晴らしい成績を上げたとしても、「去年できたんだから、今年も去年と同じようにやれば、同じくらいの成績が残せるだろう」という甘い考えでいたら、あっという間に成績は下降します。キツいれども、常に研究や練習を怠らず、自分をアップデートさせ、更新し続けていかなければならないというのが大谷の考え方です。
大谷のピッチャーとしての理想
27球のピッチングと81球のピッチングのバランスを併せ持っているというのが理想ですね
(「Number」1040 P12)
大谷翔平のバッターとしての理想が「10割打つ」ことであり、「何も考えずに来た球をホームランにする」ことだとすると、ピッチャーとしての理想は「27球のピッチングと87球のピッチングのバランスを併せ持っている」というものです。
27球のピッチングというのは、1試合をすべて初球で打ち取って27球で終わらせる、究極の「打たせて取る」ピッチングです。もう1つの81球のピッチングというのは、全員を3球三振で打ち取るというものです。
どちらも理想的に見えますが、大谷はどちらかではなく、どっちもできるのが理想と考えています。27球で終わらせようとすると、全部の球をバットに当てさせなければならないため、場合によってはその一打が風に乗ってホームランになるかもしれません。そうならないためには、序盤のリスクの少ない場面では球数を多く費やさないように27球のピッチングをして、得点圏にランナーを背負う場面や終盤の1点を争うような場面では、間違っても一発を打たれないように、3者三振に打ち取るような81球のピッチングが必要になってきます。
この両方を使い分けることができてこそ試合を支配できる、というのが大谷の考え方であり、大谷の理想とする姿なのです。