今月16日、エンゼルスの大谷翔平選手が、MLB史上初となる2度目の満票MVPに輝いた。今シーズンはホームラン44本で、ホームラン王のタイトルも獲得。なぜ大谷選手は、世界一厳しいメジャーリーグという舞台で、これほどの活躍ができるのだろうか?
ここでは、大谷翔平の高校時代から2023年WBC優勝までの発言を厳選し、その言葉の背景やエピソードを解説した『大谷翔平は、こう考える 不可能を現実に変える90の言葉』(PHP文庫)より一部を抜粋してお届けする。(全2回の2回目/1回目から続く)
◆◆◆
「興味があるなら、まずやってみる」でホームランダービーに出場
単純に日本人が出ているところを見てみたいなと、まあ僕じゃなくても、ていう単純な理由なんですけど
(「ルポ大谷翔平」P103)
大谷翔平の魅力の1つに、ホームランの圧倒的な飛距離があります。第5回WBCにおいても、大谷の練習前のフリーバッティングは圧巻で、日本代表のホームランバッターの中には「野球選手をやめたくなった」と口にした選手もいたほどでした。
大谷自身、飛距離には自信を持っているものの、一方で飛ばそうと意識しすぎると、それがフォームを崩す一因になるということも理解していました。実際、グラウンドでのバッティング練習よりも屋内での練習を重視する傾向があります。
それでも大谷のホームランはメジャーでも屈指なだけに、2021年のオールスターゲームの前夜に行われたホームランダービーには、日本人のみならず、投手としても初めて出場しています。短時間のうちにホームランを狙って強振することは身体の負担になることはもちろん、スイングが乱れて調子を崩す恐れもあるだけに、大谷の出場に懸念を示す人もいましたが、大谷は「出てみたいという気持ちのほうが強かった」と、いつもの「興味があるなら、まずやってみる」で出場を決意します。
大谷はフアン・ソトとの戦いで、タイブレークにもつれ込むほどの接戦を演じますが、最後の最後に敗れます。疲れはかなりのものでしたが、大谷は参加賞金15万ドルをチームスタッフに寄付するという粋な計らいをみせています。