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連載クローズアップ

中井貴一、57歳の挑戦「ここらで恥をかくことにした」

中井貴一(俳優)――クローズアップ

「共演の香取(慎吾)くんに聞かれたんですよ。『どうして今更ミュージカルをやろうと思ったんですか。貴一さんなら、もうやらなくてもよかったじゃないですか』って(笑)」

中井貴一さん(ヘアメイク:藤井俊二)

 日本を代表する俳優である中井貴一さんが、三谷幸喜作・演出の『日本の歴史』で、57歳にして初めてミュージカルに挑む。

「僕たちの年齢って、サラリーマンをやっている同級生は、そろそろ早期リタイアか、第二の人生を考える頃。でも役者には定年がない。僕たちの商売は、どこまで自分の限界を“作らない”ようにするかを考えないと、それなりで人生が終わってしまう気がして――前に進むために、ここらで恥をかくことにしたんです」

 とはいえ、オファーを受けた時は、「ミュージカルをやったことのない僕にオファーするんだから、ミュージカル未経験の人が集まるんだろう」と思っていたという中井さん。蓋を開けてみると、「自分以外は全員ミュージカルのプロだった」と苦笑いする。

「だから稽古場では、すっごく素直な自分がいるんです。何を言われても、『はいっ!』って(笑)。川平慈英さんやシルビア・グラブさんたち共演のみんなのことも、すっげぇなあ、みんな本当に天職についたんだなと、ただただ感心して見ています」

舞台「日本の歴史」

 今回の舞台では、たった7名の役者が、タイトル通り、卑弥呼の時代から太平洋戦争まで、約1700年間の歴史を演じる。登場する歴史上の人物は50人を超え、中井さんは源頼朝、新井白石、秩父事件で蜂起した困民党の田代栄助などに扮する。

「一人当たり7、8役ですから、コーラスもやるし、舞台袖にはけながら大道具も動かす。裏では30秒で衣装替えをしなくてはならなかったり、楽屋に戻る暇もないです」