昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2018/12/15

医師が勧める「ぜひ受けておくべき」項目

 鈴木医師は、次の項目は「ぜひ受けておくべき」と言う。

「20~30代の若い女性に子宮頸がんが増えていることから、この世代の女性は2~3年に一度、子宮頸がんの検査を受けておいたほうが安心です。また、女性は閉経前後から骨密度が急速に低下するので、過去に何度もダイエットを経験したことがある、あるいは骨折の既往がある女性は、骨密度検査を加えるといい。また、子育てや仕事、介護に忙しい30~50代の女性の乳がんも増加しているので、こちらの検査もお勧めしたい」

 一方で、受けるべきか否かを考えるのが「内視鏡検査」だ。九段坂病院副院長で消化器内科が専門の佐々部正孝医師は言う。

「胃カメラは、ピロリ菌が陽性の人は、たとえ菌を駆除した後でもがんのリスクは残るので毎年受けたい。逆に元々ピロリ菌が陰性で、一度検査して問題がなければ、2~3年に一度の検査でいいでしょう。ただし、60歳を過ぎると食道がんのリスクが高まるので、こちらは年に一度の検査が望ましい」

©iStock.com

 一方の大腸内視鏡はどうか。佐々部医師が続ける。

「ポリープができやすい人なら毎年の検査が望まれますが、そうでなくて一度検査をして所見がなければ、3年に一度くらいが妥当です」

 ちなみに、よく話題になるバリウム検査について、佐々部医師は、

「胃カメラをやるならバリウムを飲む必要はない。バリウムだと食道の狭窄が見つけやすいという声もあるが、経験のある内視鏡医であれば胃カメラでわかります」

 結局は、内視鏡医のウデ次第、ということになってくるのだが……。

CT検査か、エックス線撮影か

 健康なのにCT検査やエックス線(レントゲン)撮影を受けることに不安を持つ人も少なくない。それで病気が見つかればいいが、何も異常がなければ、「ただ被ばくしただけ」ということになる。

「受診者のリスクに応じて判断する必要がありそうです」

 と語るのは、池袋大谷クリニック院長で呼吸器内科が専門の大谷義夫医師。米国での大規模臨床試験を元に解説してくれた。

「喫煙指数という数値があります。これは1日に吸うたばこの箱数に喫煙年数をかけた数字で“pack-years”という単位で示されます。この研究の結果からは、“55~74歳で30 pack-years以上”の人は肺がんの高リスク群とされ、低線量のCT検査を毎年受けることが勧められます。

 一方、この高リスク群に該当しない方は現在検証中です。最近の低線量CTでは被曝量がかなり減少していますが、40歳未満の若年者や40歳以上でも無症状で低リスクの非喫煙者に毎年CT検診をする必要はないと考えられ、さらに被ばく量の少ないエックス線撮影でいいでしょう」

©iStock.com

眼圧に異常がないタイプの緑内障

「ぜひ眼底検査だけは受けてほしい。企業健診にはほぼ入っていないし、人間ドックでも基本メニューに入っていないこともある。受信前に確認して、もし基本メニューにない時にはオプションとして加えてほしい」

 と語るのは、二本松眼科病院の平松類医師。その理由を語る。

「失明原因の第1位が緑内障ですが、日本人の緑内障患者の9割が“正常眼圧緑内障”といって、眼圧に異常がないタイプの病気なのです。これを見つけるには眼底検査をするしかありません。以前は企業健診の基本メニューに入っていたのですが、“メタボ健診”を始めたときに、予算を捻出するために外されてしまった。これはきわめて憂慮すべき事態です」

 平松医師によると、オプションで眼底検査を加えても、支払う額はせいぜい数百円程度とのこと。受けておいて損はないだろう。