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「女王とか言われるの、めっちゃ腹立ちません?」

 そういえばあの日の『さんまのまんま』でも、さんまに何度も「西の女王」と持ち上げられてましたっけ。でも上沼恵美子は「女王とか言われるの、めっちゃ腹立ちません?」と言い放った。おそらくそこには、自分は現役であるという自負、立場で笑わせてんじゃないという怒りがあったのだと、今あらためて思うのです。それなのにです。さんまに対しては「天下取って、40年も君臨して」とかしつこいくらいに言う、そのいけずさ。さんまは心底「関西におっといてくれ……」と思ったことでしょう。

 確かに上沼恵美子は西のテレビ界の権力者なのだと思います。そして周りが一斉に権力者に仕立て上げ神棚の中に封じ込めようとする気持ちもなんとなくわかります。『さんまのまんま』の終盤で「60歳の還暦の山登ったら見える景色が違いましたわ。今まで気を使って生きてきましたけど、正直なところは正直で行こう、ダメなものはダメで行こうと」としみじみ話してましたけど、権力に一切固執してない権力者って、めちゃめちゃタチ悪くて最高じゃないですか。そんな、上沼恵美子の本当の怖さを思い出させてくれたとろサーモン久保田とスーマラ武智の両氏には、感謝の意も込めまして『はらたいらのジタバタ男の更年期』(小学館文庫)をお勧めしたいと思います。

上沼恵美子