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「異次元の野球をしている」

 8月に戸田で指導をした杉村巡回打撃コーチも、「ヤバイ奴やな」と評したというから本物だ。満を持して上がったはずの一軍では全く打てずすぐ降格。ファームに戻った時には自分のバッティングを見失ったか、一時快音が鳴りを潜めた。

 だがまた打ち始めてシーズン終盤の一軍に再昇格。故障のせいで試合数は少ないが、ファーム48試合で打率.329、9本塁打、出塁率.418、長打率.593。OPSは1.011。後は一軍経験を積めば、面白い選手になるだろう。本当に、塩見を見ているのは楽しい。笑えるほどスゴイ。正統的に凄い村上宗隆とはまた別に、予測不能なスケールの大きさなのだ。

 今季一軍での成績は結局25打数1安打に終わったが、地獄の秋季キャンプを乗り越えた塩見は、台湾のアジア・ウインターリーグで暴れまくった。18試合で打率.392。本塁打は4本で村上宗隆と並び、打率と本塁打数は参加選手中トップ。長打率.725、OPSは1.209。解説の亀山つとむ氏をして「異次元の野球をしている」と言わしめた。

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アジア・ウインターリーグで好成績を残した塩見 ©HISATO

 ハッシュタグの表記は「#ヤバイよ塩見」と「#ヤバいよ塩見」が別扱いになってしまうらしい。本家出川はどうなのだろうと調べると、やはり話し言葉だけに一定していないようだ。「やばいよ」もあれば、「YABAIYO」もあるほど。ともあれ表記に関わらず、多くの人が塩見の活躍を見て「こいつヤバイ」と思えば面白い。躍動すればするほど、タグを使う人も増えてくるだろう。「#ヤバイよ塩見」がネットに踊るのが楽しみだ。

 今季一軍を経験した。来季ある程度の結果を出すことは必須だし、予想の範囲内になる。しかし、案外その予想すら超えていくのではないか。「ヤバイ男」塩見泰隆は、そんな期待を持たせる選手なのだ。

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