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「書き換えだけど改ざんじゃない」 2018年“見出し大賞”はこれしかない理由

「言葉のすり替え」と「ステーキ屋の『うそ』」

2018/12/28

 新聞を12紙購読する者として、今年の見出し大賞を発表したい。

 大賞は5月30日の日刊スポーツ。

「書き換えだけど改ざんじゃない」

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 である。

《麻生太郎財務相は29日の衆院財務金融委員会で、森友学園への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改ざんに関して「改ざんといった悪質なものではないのではないか」と発言。あくまで「書き換え」との認識を示した。》(同)

 小見出しには「麻生財務相いまだかつてない言い訳」。

麻生太郎副総理 ©getty

27年前のネタなんて説明なしにわかるのかよ?

 これは「書き換えだけど改ざんじゃない」と併せて読むと、27年前の1991年にヒットした「さよならだけどさよならじゃない」(やまだかつてないWINK)のもじりであることがわかる。

 27年前のネタなんて説明なしにわかるのかよ? と思ったあなた、スポーツ新聞はおじさんが発信しておじさんが受信する新聞であるから大丈夫なのである。

 私はこの見出しをみて、やまかつWINKの曲であると当然理解。その一方でゲスの極み乙女。の「私以外私じゃないの」も思い出したので「ゲスの極み乙女。の新曲か」とツイッターでつぶやいた。すると、

「それはやまかつWINKでしょ」

「やまだかつてないWINKの方かと思った」

 などのリプライをいただいた。少し感動した。なぜなら、

 日刊スポーツのこの見出しを作った人もおっさん、「ゲスの極み乙女。の新曲か」と改ざんツイートした私もおっさん、それに対し「それはやまかつWINKでしょ」とすぐ反応したのもおっさん。皆おっさんだからだ(もしくはおばさん)。

 中年でぐるぐるまわっていたのである。ツイッターは匿名性が売りだが内容によっては年代がすぐにわかるという、同志感すら抱いた例だった。