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今年の永田町は「言葉のすり替えブーム」に沸いた

 それにしてもこの「書き換えだけど改ざんじゃない」は今年を象徴する見出しだ。

 同じく日刊スポーツのコラム「政界地獄耳」は、「言葉のすり替えブーム 発端は永田町」(11月20日)と書いた。本質を正面から見据えることを避け、聞こえのいい表現に変換すれば解決するとでも思っているのか、と。その発端は政治にある、と。

《「公文書を書き換えたけど改ざんではない」「武力衝突はあったが戦闘ではない」「つぶせとは言ったけど反則しろとは言っていない」と事態を正面から受け止めず、ごまかしたりすり替えたりしていたものも、最近では「残業代ゼロ制度は高度プロフェッショナル制度」に「移民を実技実習生や外国人労働者」に「日米FTAを日米TAG」に言い換える。》(同)

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©iStock.com

「あった」はずのものが「なかった」論法はトレンドに

 言葉のすり替えだけではない。今年はまだトレンドがあった。「あった」ものが「なかった」という件である。

 私のこのコラムを振り返ると、そのテーマについて書いたものが今年何回かあった。

 たとえば、

紙面で振り返る、赤坂自民亭から加計問題まで2018年前半『政治的うそ』」(8月17日)

安倍晋三首相 ©JMPA

 以下、抜粋する。

◆ ◆ ◆

 安倍首相と加計孝太郎氏の面会が「なかった」という件。加計学園の担当者が「二人の面会があったと自分がウソをついた」と言い出した。 なぜか政権がらみで「あった」ものが「なかった」というのは多い。

 首相が6月20日の夜に銀座のステーキ店で麻生財務相、自民党の二階幹事長、二階派の河村建夫衆院予算委員長らと会食したときのこと。その席で首相は延長国会について「もう集中審議は勘弁してほしい」と発言したと河村建夫氏が証言した。しかし、

《この発言を報道陣に紹介した自民党の河村建夫衆院予算委員長が21日、急きょ党本部に報道陣を集め、「勘弁」発言について「そういう言い方は一切なかった」と説明し、前日の発言を撤回。》(「『集中審議は勘弁』首相発言は『なかった』」 日刊スポーツ 6月22日)

 まだある。

「岸田氏の安倍首相との会談、菅氏が否定」(朝日新聞デジタル 7月25日)
 
《自民党の岸田文雄政調会長が党総裁選への立候補見送りに絡み、安倍晋三首相と23日に会談したと説明したことについて、菅義偉官房長官は25日の記者会見で「(首相は)会ったことはないということだった」と否定した。岸田氏は立候補見送りを表明した24日の記者会見で「昨日(23日)直接会って、(首相と)話をした」と説明している。》

◆ ◆ ◆

 さてここにきて驚くのは、なんとこの12月にまたステーキ屋の「うそ」があったことだ。