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 さて、このプロジェクト、今年のマンションマーケットを占う試金石ともいえるが、実際「買い」といえるのかを検証してみよう。

交通利便性、眺望、通学の便などから徹底分析

 立地は中央区晴海5丁目。マンション立地としては残念ながらハイクラスの立地とは言い難い。マンション購入者がまず気にするのが交通利便性である。本件は、最寄り駅が都営大江戸線「勝どき」駅となるが、駅までは徒歩で30分近くかかる。現実問題としてこの駅まで毎朝毎夕歩く人はいない。都心につながる唯一の交通はバスだ。東京都ではBRT(バス高速輸送システム)を用意する。このバスを使えば環状2号線で港区の新橋駅まで10分程度でつながるという触れ込みだ。ただし、当初期待されたバス専用のレーンが設けられることはなさそうだ。環状2号線は片側2車線道路。豊洲市場関係車両も集中する道路で、そのうちの 1本をバス専用とするわけにはいかないのだ。

 計画ではラッシュ時でも1時間6本。連接バスを使うとのことだが収容人員は130名程度。通勤電車の車両1台分にも満たない輸送力だ。ましてや深夜や早朝などラッシュ時以外を考えると交通利便性はあまり評価できない。

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 湾岸エリアであるので眺望は良さそうだ。棟によってはレインボーブリッジが正面に見えそうだ。だが、埋立地で海に近いということは、塩害の影響と、大地震に際しての土地の液状化や津波も心配だ。

©iStock.com

 開発街区内には小中学校が開設される予定だが、都内の私立の学校に通うにはいずれもバスで新橋経由となる。通学の便を考えても選択肢は限られてきそうだ。

 買い物はスーパーがオープンするようだが、日常品に限られる。飲食施設などはいったいどこにできるのだろうか。

共用施設の充実に期待するしかない

 開発街区内には清掃工場が既に存在する。最近の清掃工場は煤煙も少ないのだろうが、ゴミトラックの出入りは交通安全上も衛生上も気になる点だ。水素ステーションがあるというが、車はどうやら電気自動車が主流になりそうな中、正直どうでもよい施設にも見える。

 あとはデベロッパー各社が企画する共用施設の充実に期待するしかない。まだ具体的な内容はほとんど明らかにされていないが、おそらくてんこ盛りの宣伝文句が並ぶことだろう。少なくとも街区内で生活するかぎり不便さを感じない設えやサービスとなるのではないか。晴海にどうしても「住みたい」と考える人や新橋やその近辺に通勤する人にとっては、おそらく設備仕様は十分なマンションが建設されるはずだ。